モリタ動物病院では、腫瘍症例に対して腫瘍のタイプ、進行度(ステージ)、ご家族の希望などを勘案し、それぞれの動物にとってのベストな治療方法を提示します。
腫瘍の治療には外科治療(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤)など様々な治療があり時には、これらを組み合わせた治療が必要になることがあります。
🔹外科切除(手術)
腫瘍が原発巣のみにとどまっている時には最も効果的な治療方法です。ただし、悪性腫瘍の場合にはマージンという“のりしろ”をつけて切除する必要があります。マージンを確保することが困難な場合には放射線治療や化学療法を主体として治療することや、これらの治療を術前や術後に実施することで再発防止を目指すこともあります。
🔹放射線治療
身体の外から高エネルギーの放射線を腫瘍に集中して照射することで、腫瘍の増殖を制御します。様々な悪性腫瘍で適応可能であり、特に鼻腔内腫瘍など外科切除が困難な腫瘍では第一選択となる治療方法です。放射線治療が実施可能な施設は大学病院などの二次診療施設となりますので、適応となる場合にはご紹介いたします。
腫瘍専門診療を担当する後藤獣医師は、岐阜大学動物病院において多数の放射線治療症例を経験し、日本獣医がん学会の放射線治療に関する教育講演に従事しております。
🔹化学療法
外科切除と放射線治療が局所療法である一方で化学療法は全身療法となり、転移を制御する唯一の治療方法です。しかし、副作用が許容可能な範囲で実施するため腫瘍を小さくさせる力は外科切除や放射線治療と比べて劣ることがほとんどです。ただし、リンパ腫などの全身に拡がる悪性腫瘍は化学療法に対する反応性も良く第一選択となります。
多くのご家族が“抗がん剤=副作用が強い” のではないかとご心配されますが、人と比べて犬や猫に用いる抗がん剤は用量が少なく、基本的には日常生活を維持しつつ腫瘍の進行を抑えることを目指します。また、近年では分子標的薬と呼ばれるがん細胞の増殖に関与するタンパク質を標的にする薬も多数使用されるようになってきており、治療の選択肢は幅広くなっております。
当院では大学病院等の二次診療施設においても取り扱いの少ない抗がん剤を含む多種多様な化学療法剤を取り扱っております。
当院において取り扱いのある化学療法剤
【細胞障害性抗がん剤】
・ドキソルビシン
・ビンクリスチン
・ビンブラスチン
・ビノレルビン
・カルボプラチン
・ミトキサントロン
・シクロホスファミド
・クロラムブシル
・L-アスパラギナーゼ
・ロムスチン
・ニムスチン
・エピルビシン
・シタラビン
・ドキシル®(ドキソルビシンのリポソーム製剤)
・プロカルバジン
・テモゾロミド
【分子標的薬】
・トセラニブ
・イマチニブ
・ソラフェニブ
【抗体医薬】
【その他】
・ピロキシカム
・フィロコキシブ
・イソトレチノイン
・プロプラノロール
・ユンナンバイヤオ